『逃げ上手の若君』第17巻ネタバレ・解説

ネタバレ

はじめに

『逃げ上手の若君』は、松井優征による歴史漫画で、鎌倉時代末期から南北朝時代を舞台に、北条時行の逃げの戦術を駆使した波乱万丈の人生を描いています。『週刊少年ジャンプ』にて2021年から連載され、2024年7月時点で累計発行部数は300万部を突破しています。第17巻では、時行たちの戦いがますます激しさを増し、土岐頼遠という強敵の登場で物語は新たな局面を迎えます。

あらすじ

第17巻では、足利方の猛将・土岐頼遠が登場し、顕家軍は彼の圧倒的な力の前に苦境に立たされます。時行の「逃げの戦術」も通用しない中、戦場には突如、優雅な音楽が響き渡り、一時離脱していた北畠顕家が華麗に舞い戻ります。戦場の雰囲気が一変し、お祭り騒ぎと化す中、激しい戦いの末に戦は堂々の決着を迎えます。

しかし、戦いの終結は長く続かず、不破関を越えた時行たちの前に、新たな刺客が京から送り込まれます。冷酷な刺客との対峙が、時行たちの新たな試練として立ちはだかるのです。

登場キャラクター

北条時行(ほうじょう ときゆき)

本作の主人公。得宗北条家の御曹司で、鎌倉幕府滅亡後も逃げ続けることで生き延びる術を磨いてきた少年。逃げることそのものに興奮を感じる変わった性格を持つが、信念を貫き通す強い意志もある。仲間思いで、戦場では逃げの戦術を駆使しながらも、家族や家名を取り戻すために戦う。

土岐頼遠(とき よりとお)

美濃国守護で、足利方の猛将。鬼のような面頬で顔を隠し、巨体と怪力を誇る彼は「人間爆弾」と呼ばれる異名を持ち、敵兵を手に掴み投げるという凄まじい戦術を使います。その傲慢で自己中心的な性格が、顕家軍を苦しめます。

北畠顕家(きたばたけ あきいえ)

時行たちを率いる南朝方の将軍。戦場で華麗な復帰を果たし、その卓越した戦術眼とカリスマ性で味方の士気を高める。若き将として、戦局を見極める冷静さと決断力を持ち、時行たちを救う場面が描かれています。

雫(しずく)

諏訪頼重の娘で、逃若党のメンバー。巫女のような装束を纏い、秘術や事務に優れた才能を発揮します。毒舌家で冷静な判断力を持ち、戦場では根回しや献策を得意とし、時行たちを支える重要なキャラクターです。

弧次郎(こじろう)

諏訪神党に連なる祢津一族の出身で、時行の友人兼副将。剣術の達人で、攻撃が苦手な時行に代わって敵を攻め立てる役割を果たします。出自に苦悩しながらも、時行との友情を通じて成長していきます。

亜也子(あやこ)

逃若党の女性メンバーで、望月重信の庶子。人並外れた怪力と戦場での豪快な戦い方を誇ります。平和な世ならば憧れの的となる才女と評される一方、時行を守るために戦うことを誇りに感じています。

風間玄蕃(かざま げんば)

信濃の盗人で、変装や工作に長けた策士。時行に出会い、逃若党に加入する。守銭奴で女性に目がないが、仲間のために戦う姿勢を見せます。父親の代から続く困難な境遇の中で、自分の信条を持ちつつも時行の成長を助けます。

吹雪(ふぶき)

二刀使いの軍師で、戦術家としての能力に優れています。冷静な性格でありながらも情に厚く、幼い子どもたちを守る姿勢を見せるなど、人情深い一面も持っています。彼の軍師としての才能が時行たちの戦いを支える鍵となります。

足利尊氏(あしかが たかうじ)

北条時行の最大の敵で、南北朝時代の「絶対的主人公」として描かれています。謙虚な態度と圧倒的なカリスマ性を持ち、人々を魅了します。彼の存在は物語全体を通して重要な要素となり、時行たちの運命を大きく左右することになります。

足利直義(あしかが ただよし)

尊氏の弟で、兄とは対照的に理に基づいて行動する合理的な人物。政治家としての才能を発揮しながらも、戦場では兄に劣る部分を見せます。時行たちとの対峙を通じて、その冷静さと戦略的思考が描かれます。

高師直(こうの もろなお)

足利家の執事であり、尊氏の幼少時から仕えている。冷酷かつ合理的な性格で、戦闘や内政、さらに尊氏の身の回りの世話までこなす完璧な執事として描かれています。増長する彼の野心が足利家内の緊張を高める要因となります。

斯波家長(しば いえなが)

関東執事で、足利家の一門として鎌倉の統治を担う若き軍略家。中先代の乱では様々な戦術を駆使して時行たちと対峙します。彼の冷徹な指揮能力が、物語の戦闘シーンをさらに盛り上げます。

佐々木道誉(ささき どうよ)

尊氏の盟友で、教養人であり稀代の策士。常に策を巡らせ、戦場や政治の舞台で暗躍します。その腹黒さは敵味方を問わず一目置かれる存在で、尊氏を支える重要なキャラクターとして描かれています。

魅摩(みま)

佐々木道誉の娘で、賭場を仕切る少女。露出の多い装いと過激な性格で、戦場でもその残忍さを発揮します。時行たちとの出会いを通じて、物語にさらなる緊張感を与える存在です。

諏訪頼重(すわ よりしげ)

信濃国諏訪郡の神官であり、時行を諏訪に匿い、育てた恩人。未来を見通す力を持ち、時行の指導者として物語の初期から重要な役割を果たします。中先代の乱ではその力で戦局を左右しようとしますが、尊氏に敗北します。

諏訪時継(すわ ときつぐ)

諏訪頼重の息子で、次期当主。盲目ながらも神力を持ち、冷静沈着な将として戦場で活躍します。時行たちを支える一方で、父親の影響を受けつつ、諏訪の未来を見据えた行動を取ります。

足利義詮(あしかが よしあきら)

尊氏の嫡男で、後継者としての道を歩む青年。尊氏と比べると凡庸ですが、成長過程でその個性が描かれていきます。

足利直冬(あしかが ただふゆ)

尊氏の庶子で、1333年には東勝寺の小坊主として鎌倉におり、北条家滅亡を目撃していました。父との関係に悩みながらも、時行との交流を通じて成長していく姿が描かれます。

考察

『逃げ上手の若君』第17巻は、物語の中で大きな転換点となる巻です。この巻では、足利方の猛将・土岐頼遠の登場によって、これまでの「逃げ」の戦術が通用しない場面が描かれ、時行たちにとって新たな挑戦と成長が求められます。土岐頼遠の「人間爆弾」という戦術は、現実離れした迫力を持ちつつも、その残虐性と戦場での恐怖を象徴しています。このキャラクターの登場によって、戦いのリアルさと戦国時代の苛烈さが強調され、物語のテンションが一段と高まっています。

土岐頼遠の描写は、彼の力が単なる身体的な強さに留まらず、足利方の象徴的な暴力性を体現するキャラクターとして位置づけられています。彼の傲慢な性格と圧倒的な破壊力は、戦場における人間の尊厳や価値観を問う要素として描かれています。これは、物語全体のテーマである「逃げることの意義」との対比を生み出し、読者にとって深い考察を促す要素となっています。

一方で、時行たちの「逃げの戦術」が一時的に通用しなくなるという展開は、物語の進行において非常に重要な意味を持ちます。これまでは逃げることで敵を翻弄し、生き延びることができた時行たちですが、頼遠という強敵の登場により、単純な逃げでは解決できない局面が訪れます。これは、時行自身や逃若党のメンバーたちにとっての成長の機会であり、彼らが新たな戦術を模索し、さらに強くなるための試練として描かれています。

また、戦場に突如として響く優雅な音楽と共に、北畠顕家が華麗に再登場する場面も、第17巻の重要なポイントです。顕家の登場は、単に戦局を変える要素としてだけでなく、彼のカリスマ性と戦術眼の優秀さを強調する演出としても機能しています。戦場の空気が一変し、士気が高まる瞬間は、読者に強いカタルシスを与えると同時に、物語の緊張感をさらに高める効果をもたらしています。

この巻での展開は、単なるバトル漫画の枠を超えて、キャラクターの内面描写と戦場での心理的駆け引きに重きを置いています。特に、京からの新たな刺客の登場は、時行たちに新たな困難をもたらすと同時に、彼らの精神的な成長を試す重要なエピソードとなります。冷酷な刺客の存在は、単なる戦闘力の高さだけでなく、戦略的な頭脳戦も必要とされる展開を予感させます。

このように、『逃げ上手の若君』第17巻では、戦いの描写がますます複雑化し、キャラクターたちの成長や変化が一層深く描かれるようになっています。時行たちがどのようにしてこの新たな試練を乗り越えていくのか、また彼らがどのようにして「逃げることの意義」を再定義していくのかが、今後の物語の大きな焦点となります。松井優征の巧みなストーリーテリングとキャラクター描写によって、歴史的事実とフィクションが絶妙に融合し、読者を魅了し続ける作品となっているのです。

また、この巻を通じて示されるのは、逃げることの意味をただ単に「卑怯」という側面だけで捉えるのではなく、「生き延びるための戦略」として肯定的に描くことの重要性です。戦うことが誉れとされた時代背景の中で、「逃げること」で勝利を掴み取ろうとする時行たちの姿勢は、従来の戦記物語とは一線を画す独自性を持っています。これにより、読者は彼らの「逃げる」ことへの真剣さや、それに込められた覚悟をより深く理解することができます。

このように、物語の展開とキャラクターの成長が絶妙に絡み合い、『逃げ上手の若君』第17巻は、物語全体の中でも特に重要な巻として位置づけられます。これからの展開においても、時行たちが直面するであろうさらなる困難や挑戦を通じて、彼らがどのように進化し続けるのかに注目です。

まとめ

『逃げ上手の若君』第17巻は、土岐頼遠という圧倒的な力を持つ敵の登場によって、物語が大きく動く重要な巻です。頼遠の強大な力により、これまでの「逃げの戦術」が通用しないという新たな課題が浮かび上がり、時行たちの成長が求められます。頼遠の「人間爆弾」という戦術は、読者に戦場の恐怖と圧力を強く感じさせると同時に、物語のテーマである「逃げること」の意義と対比されることで深い考察を促します。

また、戦場に華麗に復帰する北畠顕家の登場は、物語に新たな風を吹き込みます。顕家のカリスマ性と優れた戦術眼は、戦場の士気を大いに高め、読者に強い印象を残します。この巻の展開を通じて、時行たちは新たな戦術を模索し、逃若党のメンバーたちがそれぞれの役割を果たしながら成長していく姿が描かれます。

さらに、京からの新たな刺客の登場は、物語のさらなる展開を予感させ、時行たちの精神的・肉体的な成長を試す試練として機能します。彼らがどのようにしてこの新たな脅威に立ち向かい、どのように「逃げること」を再定義していくのかが、今後の物語の焦点となります。

第17巻は、キャラクターの深みや戦場での心理的駆け引きを描くことで、物語の奥行きを増し、読者を引き込みます。松井優征の緻密なストーリーテリングとキャラクター描写によって、歴史とフィクションが見事に融合した本作は、今後の展開においてもますます目が離せない作品となっています。時行たちの運命と物語の行方を楽しみに、次の巻の発売を待ちましょう。

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